甘くてこまる
だけど魅惑の誘いに揺らぐわたしの心を、的確に見透かした相馬さんは「そんなんオレの手にかかれば――――」と、手の甲をわたしに向ける。
「ほら」
次の瞬間。
くるりと翻った相馬さんの手のひらには、スタッフの人たちが首から提げている、あのスタッフパスが収まっていた。
「ってことで、行くで!」
「えええ!?」
相馬さんはわたしの首にスタッフパスをかけたかと思いきや、ぐいぐいと背中を押してくる。
強引に誘導され、わたしは、郁と相馬さんとともに、未知の世界――――スタジオの中へ転がり込んだ。