甘くてこまる

「???」



𓐍
𓏸




そして、翌朝。




「ん、う……郁?」




目覚めると、あたりまえのようにベッドに腰かけている郁。


入学式の日以来、もう毎朝のようにこうだから慣れてきたとはいえ、ドキリとはするわけで、心臓に悪い。


わたしの寿命が縮んだら、郁のせいだよ。




「おはよ、せーら。よく眠れた?」

「う、ん」




微笑んで首を傾げる郁の表情は、とろけるくらい甘い。


カーテン越しに朝の光が差しこんで、その角度はちょうど郁のいるところを照らす。



郁のいるところだけ眩しくて、それが昨日スタジオで見た光景と重なって、きゅっと喉の奥が狭くなった。



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