イケメンクラスメイトの推し愛が重い
顔見られたらダメだ。
「うめ……直くんは?」
「慣れない場所で眠れなくて」
「……私も、似たようなものかな」
スッピンの顔はさすがに
志歩だってバレる。
目、合わせないようにしよう。
「……しほみさん。
今日は、ごめんなさい」
「……」
「デートの時、勝手なことを言いました。
どんな道も応援するって、そんなこと言って欲しかったわけじゃないんですよね。
ファン目線でどうしてほしいか、しほみさんの求めた答えを出せませんでした」
「……別に、いいよ。
ファンにそんなこと求める方が間違ってた」
どうしたらいい?なんて、
自分で決めなきゃ、納得しないくせにね。
「梅森くんにどんな答えを返されてても、
私は結局、どっちを選べばいいか悩んでたと思うし」
「……どうするか決めたんですか?」
「……んー…わかんない。
やりたいとかやりたくないとかの気持ちの前に、“やる覚悟”がないからさ。
……だったらやらないって選択じゃんって感じなんだけど…」
「………やっぱり、未練あるんですか?」
「……未練っていうか。
せめて、最高のステージを1回くらいは味わいたかったなぁって。
……たぶん、そんな気持ちのせいで迷ってる」