イケメンクラスメイトの推し愛が重い
「なにか知ってるんだろう!?教えてくれないか!」
「すいません教えることないです」
少しイライラした様子の梅森くんは
先輩を撒こうとしてるのか、早足でこっちへ向かってくる。
「あ!」
そして私に気付くと
先輩に『彼女と帰るのでついてこないでください』としっかり睨みをきかせていた。
こっちに向かってくる梅森くんに気付いた絵奈ちゃんたちは
気を遣って「あたしら帰るねー」って言ってスタスタと歩いていった。
「ごめん志歩ちゃん」
「ううん、大丈夫」
付き合い始めてから、
梅森くんは私を、『しほみさん』でも『しほみん』でも『椿さん』でもなく、
『志歩ちゃん』と呼ぶようになった。
「あの先輩しつこくて…」
「意外。
梅森くんは布教するタイプだと思ってた」
「あ、今『梅森くん』って」
「あー……直くん…」
おかげで
私も『直くん』と呼ぶように言われている…。
「昔は布教したい派だったけど…
志歩ちゃんたちの気持ちもあるし、
俺もまぁ…その…あんまり知られたくないなって思うようになったから」