イケメンクラスメイトの推し愛が重い
売れなかったグッズを他人にあげるその“大事な人”って誰だよ!!
他人にあげるようなものじゃないよ!!私も貸してたけどさ!!
そんなレアなものじゃないって、教えてあげないと。
「あのぉ……
それ、私も持ってるよ」
「……え!?」
「この間、あそこにいる羽田さんに貸して、
失くしたって言ってたから私のかと思っちゃって…」
「……え!!失くしたの!?」
「あ、でも別にそんな、大事なものではないから…」
笑って手を振ったら、
梅森くんがボールペンを見つめて黙ってしまった。
「……失くしてもいいなんて、
大事じゃないんだ…」
「実は、余分に持ってるから…」
「え!!マジで!?
もしかして椿さんって、
このアイドルのこと知ってる?」
ボールペンをずいっ、と私の目の前に差し出してくる梅森くん。
ボールペンに描かれた『Mi☆Mi』のロゴが、私の視界をぐわりとブレさせた。
……なんだ、このクソダサいロゴは。そしてこのクソ売れなさそうな名前は。
『売れない底辺地下アイドル』にはなるべくしてなった。今ならよくわかるや。