イケメンクラスメイトの推し愛が重い
逃げようかと思って「人違いです」って言おうとしたら。
「すいません、この子俺と約束してたんで」
私と茉美兄の間に、男の子が割って入ってきた。
「……おーそっか。
呼び止めて悪かったな」
案外聞き分けのいい茉美兄が意外だったのか、男の子は「え、あ、はい」とちょっと困惑気味だった。
茉美兄は「じゃまた今度ゆっくり話そうなー」と手を振って、
私は男の子に手を引っ張られてコンビニを離れた。
「……大丈夫だった?」
「え、あ…」
コンビニが見えなくなったところまで来て、そう言って私の方に振り返ったその人は
今日、私が怒らせてしまった人だった。
「梅森くん…」
「困ってたように見えたけど、
困ってなかった?」
「……あ、うん。困ってた。
ありがとう」
私が梅森くんを怒らせて別れたのに、
…意外に普通に話しかけられていることに、ちょっと戸惑ってしまう。