夜明けの花 -死に戻り皇女と禁色の王子-

盛大な結婚式と晩餐会を終えた後。侍女たちの手によっていつもよりも長い入浴をし、やたら露出の多い真っ白なワンピースのような服を着せられたクローディアは、ベッドの上でリアンを待っていた。

形だけとはいえ、夫婦となるのだ。別で寝てはあらぬ噂を立てられてしまう恐れがある為、夜は共に寝ようと考えていた。

(……アンナったら。いつもはあったかくして寝るようにって、ふかふかのものを用意するのに、どうして今日は肌寒い格好をさせてくるのかしら)

クローディアは胸元のリボンが固く結ばれているか確認した。案の定それは今にも解けそうで、よくよく全身を見たら今着ているこの服は、胸元のリボンが解けたら色々とまずいことになることに気がついた。

なぜ今日に限って、こんなものを着せられたのだろうか。

『──いいですか、皇女さま。今夜は大事な日です! 殿下が来たら、その身を委ねてくださいね!』

『ゆだねるって…?』

『それは殿下が教えてくださいますよ』

なぜ今日が大事な日なのか、身を委ねるとはどういう意味なのか。何も知らないクローディアは、コンコンと扉が叩かれる音にびくりと肩を震わせ、慌てて背筋を正した。

──これから何が始まるのだろう?
< 160 / 223 >

この作品をシェア

pagetop