【完結】借金返済のために結婚したのに、いつの間にか愛で包まれていました。
夕食の買い物を済ませて再び車に乗り込むと、泰裕さんは車のギアを入れ車を走らせる。
「花純、腹減らないか?」
「え?」
信号が赤になり車が止まった瞬間、泰裕さんは私にそう問いかけてくる。
「腹、減ってないか?」
「あ……そうですね」
「じゃあ、昼でも食べて帰るか」
信号が青になり、再び車は走り出す。
「あの、どこに行かれるんですか?」
「最近新しくカフェがあるらしいんだけど、そこに行こうかと思ってな」
「え、カフェ……?」
確かに泰裕さんは、甘いものは苦手だと言っていたような気が……。
「女って、カフェとか好きだろ?」
「え……?」
それって……私のためにってこと?
「なんでも、そこのカフェのミックスサンドが美味いらしい」
「ミックスサンド?」
「食ってみたいと思ってさ」
ミックス……サンド? 美味しそう。
「食べてみたい、ですね」
「じゃあ向かうぞ」
自宅の方向から反対方向に向かうと、ナビを手早く出しナビ通りに向かっていく。
「ここを左に曲がってちょっと行くと、カフェがあるのか」
「みたいですね」
それから程なくして、車は目的地のカフェに到着した。