【完結】借金返済のために結婚したのに、いつの間にか愛で包まれていました。
✱ ✱ ✱



「泰裕さん、ごちそうさまでした」

「ああ」

「ミックスサンド、美味しかったですね」

 車に乗り込んだ私は、泰裕さんにそう声をかけると、泰裕さんは「ああ」と返事をした。
 泰裕さんは余計なことはあまり話さない。素っ気ない時が多いし、話しかけても「ああ」とかしか返事をしない。
 まあ素っ気ないのは、いつものことなのだけど……。

「お腹いっぱいになってしまいました」

「そんなんで夕飯食べれるのか?」

「……大丈夫だと思います」

 私は泰裕さんに美味しいものをなるべく食べてほしいと思ってるから、料理は頑張っている。

「ならいいが」

「あの、泰裕さん」

「なんだ?」

 私に視線を向ける泰裕さんに、私は「あの……買い物付き合ってくれて、ありがとうございました」とお礼を伝える。

「いや、気にしなくていい。休みだったんだから」

「おかげで、いいお買い物が出来ました」

「それは良かった」

 でも泰裕さんは、優しい。冷酷な人かもしれないけど、優しいんだ。

「泰裕さんは、優しいんですね」

 そう伝えたけど、泰裕さんは素っ気なく「べつに優しくなんてない」と答えを返す。

「……そんなこと、言わないでください」
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