【完結】借金返済のために結婚したのに、いつの間にか愛で包まれていました。
泰裕さんは私の夫だから、優しい泰裕さんを見たい。
「え?」
「泰裕さんは、私に優しくしてくれます。……でもそれは、妻だからですよね?」
もし私が妻でなければ、彼はきっと私に優しくなんてしてくれない。
「自惚れるな。……優しくしてるつもりはない」
「……そうですか」
彼は私に対して、そんな冷たい言葉を向ける。
「自惚れるな……か」
小さく呟いた私の気持ちなんて、きっと彼には伝わっていないだろう。
妻だからこそ、優しくしてほしいなんて……。私は自惚れてるのかな?
愛されない代わりにそれだけを望みたいなんて……わがままなのかな?
こんなの、夫婦なんて言えるのかな……。
手も繋がない、キスもしない。でも身体は重ね合う。 これが夫婦だって……言えるのかな?
「……花純」
「はい……?」
泰裕さんに視線を向けると、泰裕さんは「来週末、キャンプに行こう」と言い出した。
「え、キャンプ……?」
「さっきキャンプ用品買ったし、友人もキャンプが好きで、一緒に行く約束をしてる。 だからお前も一緒に来いよ」
「え……でも」
私なんかが一緒に行ってもいいのかな……?
「友人にも、お前を紹介しろと言われてるからな」