【完結】借金返済のために結婚したのに、いつの間にか愛で包まれていました。


「花純、カレー作るの手伝ってくれるか?」

「はい」

 キャンプが始まって間もなく二時間が経過する。 私は二人の話に全く入れず、孤立していた。
 二人はとても楽しそうだった。本当に親友なんだと思えて、羨ましくもなる。

「ごめんね、花純ちゃん。俺たちばっかり話しちゃって」

 人参の皮を向いていると、悠一さんが私にそう話かけてくる。

「あ、いえ……そんな」

 私は本当に着いてきても良かったのだろうか……。着いてこないほうが、良かったかもしれない。

「二人って、恋愛結婚なの?」

 悠一さんの鋭い視線に、私は思わず身体が震えた。

「……え?」

 な、なんでそんなこと……!

「まさか、お見合いとか?」

「……まあ、そんな所、ですかね」

 政略結婚だなんて、そんなこと言えない。絶対に、言えない。

「そっか、お見合いなんだ。 今時あるんだね、お見合い結婚なんて」

「はい……まあ」

 泰裕さんは、なんて言ってるんだろう?私のこと。

「花純ちゃんは、泰裕のどこが好きなの?」

「えっ!?」
  
 いきなりそんなことを言われた私は、驚いて思わず人参をシンクに落としてしまった。

「あっ、ごめんなさい!」
< 24 / 44 >

この作品をシェア

pagetop