【完結】借金返済のために結婚したのに、いつの間にか愛で包まれていました。


 慌てて人参を拾って再び洗う私に、悠一さんは「そんなに驚くことだった?」と聞いてくる。

「いえ、あの……」

 な、なんて言えばいいんだろう?

「アイツのこと好きになるなんて、花純ちゃんは変わってるなって思ってさ」

「え? 変わってる……?」

 それ、どういう意味なんだろう……?

「アイツ、無愛想でしょ? しかもミステリアスだし」

 その悠一さんの言葉に、私は「まあ……そうですね」と答える。

「不安になったりしない?アイツと一緒にいて」

「……え?」

 やっぱり悠一さんはよく、泰裕さんのことを分かっている。

「アイツ、口下手だからさ。許してやってね」

「……はい」

 悠一さんがお水を汲みに行ってる間、私と悠一さんはカレー作りを進めていく。

「あの、カレールーどこですか?」

「あ、そこの箱の中にあるよ」

「ありがとうございます」

 カレールーを入れて溶かしていると、泰裕さんが戻ってくる。

「お、いいニオイするな」

「もう出来ますよ」

 カレーが仕上がると、お皿に盛り付けていく。

「泰裕さん、カレー出来ましたよ」

「おう。分かった」

「美味そうだね」

「はい。美味しそうです」
< 25 / 44 >

この作品をシェア

pagetop