【完結】借金返済のために結婚したのに、いつの間にか愛で包まれていました。
ため息を吐く泰裕さんだけど、悠一さんに向かって「結婚生活も、思ったより悪くない。……帰ったら部屋の電気が付いてて、妻が待ってるって、意外といい」と言った。
私にはこれが、泰裕さんの本音なのではないかと感じた。普段はあまり口を開かない泰裕さんだけど、本当は優しい人なんだって思えた。
私は泰裕さんの本音を聞いて、なんだか胸がドキドキした。 そして……なんだか泰裕さんの顔を見れなかった。
「へぇ? 泰裕、花純ちゃんのことそんなに愛してるんだ?」
「えっ……?!」
悠一さんの言葉に、私は思わずビックリして声を上げてしまった。
「……うるせぇよ」
な、な、なんて!? 今……愛してるって、言わなかった?!
「何照れてんだよ」
「勘違いだ。照れてなんてない」
「照れてるじゃん。顔赤いぞ?」
「………」
悠一さんの言葉に反応したのか、泰裕さんは黙り込んでしまった。
「素直に認めればいいのに。 ね?花純ちゃん?」
「……お前、そろそろ黙っとけよ」
そんな二人の会話を聞いて、私はちょっとだけ笑ってしまった。
「花純ちゃんのこと、幸せにしてやらないとダメだぞ? 悲しませたらダメだからな」
「……分かってる」