【完結】借金返済のために結婚したのに、いつの間にか愛で包まれていました。


 そう宣言された私は、泰裕さんに身体を引っ張られキスをされた。

「……え?」
 
 今……なんで、キスを……?
 今までキスをするのは、私を抱く時だけだったのに……。
 まさかキスしてくるなんて……思ってもなかった。

「ここでイチャイチャするな、お二人さん」

「悪い悪い」

「さてと、じゃあ俺は今日の夜デートなんで、ここで引き上げさせてもらおうかな」

 悠一さんはそう言って立ち上がる。

「え?デート? 聞いてねぇぞ?」

「元々、お前の奥さんに会いたいから来ただけだし。 じゃあ後は二人でごゆっくり〜」

 悠一さんは私たちに手を降ると、そのまま立ち去っていく。

「あ……行っちゃい、ましたね」

「そうだな」

 そうだなって……。それだけ?
 泰裕さん、悠一さんがいなくなった途端に急に冷たくなるし……。私、どうしたらいいのか、分からないんだけど。
 私、どうするべきなの……?こういう時?

「あの……泰裕さん」

「なんだ」

「いえ、あの……」

 あの言葉の意味が知りたい。 愛してるという、言葉の意味を……。

「さっきの言葉のことなら、気にするな」

「……え?」

 気にするなって……なに? どういう意味?
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