【完結】借金返済のために結婚したのに、いつの間にか愛で包まれていました。
「どうして……? 愛してない人と一緒に結婚生活を送るなんて……虚しいだけです」
「違う!……そうじゃない」
そうじゃない……? それ、どういう意味……?
「どういう……意味、ですか?」
そうじゃないって……なに?
「俺は、お前のことが好きだ」
「………。え?」
ちゃんと聞き取れなかった。今なんて言ったのか……。
「お前が好きなんだ、花純」
「え……。なに、言ってるの……?」
訳が分からない。 好きだって……なに?
私のこと……からかってるの……?
「だからお前のこと、絶対に手放してなんてやらない」
「え……?」
泰裕さんは私の頬を優しく撫でると、そのまま唇を重ねてくる。
「ん……っ」
離れた唇は「これで分かったか?」と言い放つ。
「花純、お前を愛してる」
「……泰裕……さん」
あれ……。私、また涙が……。
「お前がほしくなった」
「……っ」
泰裕さんは私を抱き寄せた後、優しい声で「花純……今まで冷たくしてごめん」と言ってくれた。
「お前を愛してると気付いてから、どうしたらいいのか分からなかった。……だから、冷たくしてしまった」
信じられない。……これは、夢?