【完結】借金返済のために結婚したのに、いつの間にか愛で包まれていました。


「俺から好きになるな、って言ったのにな……」

 泰裕さんは私の頬の涙を優しく拭ってくれる。

「いつしかお前を、手放したくないと思った。好きになることなんてないって、勝手にそう思ってたのに。……いつからか、お前が俺の心を掻き乱すようになった。一生懸命俺のために尽くしてくれようと頑張ってくれてた」

「泰裕さん……」

 これは……夢じゃない。 現実だ……。

「お前の不器用だけど一生懸命な所に、いつしか心を奪われるようになった。 好きになることを期待するなって言ったのは、俺なのに……。俺はそんな花純のことが、気になっていたんだな」

「……好きだなんて、言わないで」

「え……?」

 私はそんな泰裕さんに「好きだなんて……言わないでください……」と言葉を突き返す。

「……花純?」

「好きになるなって言ったのはそっちなのに……。どうして、そういうこと言うの……」

 泰裕さんはとことん私を困らせる。好きになるなって言ったのは、泰裕さんなのに。

「……私だって、あなたのことが好き。気づいたら、好きになってた。……だけどあなたが好きになるなって言うから、ずっと苦しかった」

 ずっとずっと、我慢してたのに……。
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