【完結】借金返済のために結婚したのに、いつの間にか愛で包まれていました。


 そう思ったら、私の答えは必然と出た。

「私……自由になれますか?」

「もちろん、なれるさ。 結婚したらお前は自由に生活していい。俺がお前を妻として受け入れて、養ってやるから」

 その言葉を聞いてしまった私は、この人は冷酷な人だと思った。 
 きっと彼は私に同情している、そう思った。 同情で彼は私と結婚するんだって。
 そう思ったけど、借金返済の地獄から逃れたかった私は、その提案を受けることにした。

「あの、その提案……。受け入れ、させてください」

 私にはもう、この道しかない。この道しか、残ってない。
 そう思ったら、自然と納得が出来た。 

 彼は同情でも、私を助けてくれるヒーローなんだって。 救世主だから、その提案を受けてくれるのはきっと彼しかいない。

「分かった。 じゃあ俺が、お前の借金を全額返済してやる」

「……ありがとうございます。 よろしく、お願いします」

 私は彼に、感謝の気持ちを込めて頭を下げた。

「じゃあ、婚姻届にもサインしてもらうけど、いいか?」 

「……はい。分かりました」

 こうして私は、本郷さんと利害が一致したということで、結婚することになった。




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