【完結】借金返済のために結婚したのに、いつの間にか愛で包まれていました。
二章 夫婦とはなにか
お互いを愛さない夫婦
「ただいま」
「泰裕さん、おかえりなさい」
こんな日々が続くこと、五ヶ月。
相変わらず私たち夫婦は、夫婦として成り立っているのか分からない。
ずっとこんな毎日が続いている。
「夕食は、どうされますか?」
「ああ、食べるよ」
「じゃあ、すぐに用意しますね」
「俺は着替えてくる」
泰裕さんが着替えている間、私は夕食の準備を進める。
「泰裕さん、夕食出来ました」
「ああ」
泰裕さんと一緒に夕食を食べるのは、久しぶりだ。一週間ぶりくらいだろうか。
「いただきます」
「どうぞ」
夕食の肉じゃがを一口食べれば、泰裕さんは「うん、美味い」と言ってくれる。
「本当ですか?……良かった」
「味付け、ちょうどいいな」
冷酷な泰裕さんだけど、私の作る夕食を美味しいと食べてくれるのはありがたい。
「……良かったです」
「食べたら一緒に風呂に入ろう」
「え……?」
「イヤか?」
泰裕さんと一緒にお風呂だなんて……ビックリした。
「……いえ、入ります」
これは妻としての役目だ、そう言い聞かせる。
「ごちそうさま」
「はい」
夕食を済ませた私たちは、一緒にお風呂に入る。
「背中、流しましょうか?」