【完結】借金返済のために結婚したのに、いつの間にか愛で包まれていました。


「や、すひろ、さっ……」

 その唇を奪われて、私は目を閉じる。

「んっ……んぅ……」

「花純、後ろ向け」

「え……あっ!」

 後ろを向かされ、壁に片腕を押し付けられると、後ろから私の中に侵入して来る泰裕さん。

「あっ……っ」

 泰裕さんの腰の動きに合わせて、私の声は厭らしく漏れている。

「ぁっ……っ、泰裕、さんっ」

 泰裕さんの名前を呼ぶ度に、泰裕さんは私の腰を強く激しく打ち付ける。

「あんっ……っ、やぁっ」

 泰裕さんの吐息が耳にかかるだけで、身体が熱くなるのが分かる。

「ん……花純っ」

 泰裕さんの身体が熱くて、痺れて、頭の中がフワフワする。
 いつの間にか私は、泰裕さんに抱かれながら、泰裕さんの名前を何度も呼んでいた。



「あの、泰裕さん……」

 寝る前になって、私は背を向ける泰裕さんに声をかける。

「なんだ」

「明日……お仕事、お休みですよね?」

「そうだけど」

 泰裕さんの冷たい言葉に、私は「明日、お買い物に……行きたいんですけど」と伝える。

「買い物? 分かった。車を出そう」

「あの、一人で行きますから……大丈夫です」

 泰裕さんは仕事で疲れているだろうから、出来れば無理はさせたくない。
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