総長さんは慰めたい。(短)
「あの、さっきのは……」
「いーの。いーの。俺分かってるから」
「(何一つ理解してない口が何を)」
説明しておくと、冒頭で私に「ばかやろう」と言ったのは幼馴染の拳(ケン)だ。
昼休みに担任に「拳に放課後、職員室に来るように伝えといて」と伝言を頼まれていたのをすっかり忘れていて、帰り際の校門でその事を伝えたら、その拳に怒られてしまったというわけだ。
なので拳が私に「ばかやろう」と怒鳴ったのは何も間違いではなく、むしろ正しい。
「(と、言いたい。激しく……)」
だけど、私の口は真一文字に横に伸びる。なぜなら、男の人の足元に光る物を見つけたからだ。
「(あれは……コンタクトだ!)」
そう思って手を伸ばす。男の人は「おわ!」とビックリしていたけど、お構いなしで足元をまさぐった。
だけど――