総長さんは慰めたい。(短)
「さっきの奴をコテンパンに倒すんだよ。あんな公衆の面前で振られて辱めを受けたんだ。立派な名誉毀損だからな、仕返しだ」
「難しい言葉は知っているのに、どうして脳みそが空回りしてるんですか」
「は?」
「いえ、何も」
つい本音がポロポロ出始めてしまって、思わず口を閉じる。すると「お前って変なやつだよな」と口角の上がり始めた赤髪に言われた。
あなた程では無い――と言いたい所をグッとこらえて「どの辺がですか」と下手に出る。
「まず俺といてビビらねぇ」
「(いやビビってるよ……)」
「俺を避けねぇ」
「(本当は地平線まで逃げたいよ……)」
「それと、」
「(まだあるのか)」
今度は一体、どんな妙ちきりんな事を言うのか――そう思っていたら、今まで地面を見ていた赤髪は、急に私の方を向いた。