俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる～契約結婚だと思っていたのは私だけですか？～

十年ぶりの再会は突然に

【十年ぶりの再会は突然に】

「夏香(なつか)先輩、遅くなってしまってすみません！　おはようございます」

早出出勤をして会議室の掃除をしていると、後輩の砂羽(さわ)ちゃんが慌ててやって来た。

私の働く課では二週間に一度、早出当番というものがあり、会議室やフリースペースの掃除をする。今日は砂羽ちゃんと私がその担当に当たっていたのだ。

「おはよう。気にしないで。なんか砂羽ちゃん、顔色悪いけど大丈夫？」

砂羽ちゃんの顔を覗き込んだ。

「実は昨日の飲み会でちょっと飲みすぎちゃって……でも大丈夫です！」

「そっか、そっか。無理はしないでね」

そういえば、砂羽ちゃんが昨日の昼休みに『今日はハイスペックな男性との飲み会があるんです！』なんて楽しげに話していたのを思い出した。

「はい。お気遣いありがとうございます。実は、昨日の飲み会にけっこうタイプの人がいて。ふたりで飲み直したりしてたら遅くなってしまって」

どうやら昨日の飲み会は、当たりだったらしい。砂羽ちゃんがうれしそうに微笑む。