俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる~契約結婚だと思っていたのは私だけですか?~
気づけば、夜になっていた。

なにも食べる気にはなれなくて、溜め息ばかりついている。そわそわとしながらソファーに座り旭さんの帰りを待っていた。

プルルルル──。

そんななか、着信音が鳴り響き、慌てて携帯を手に取った。

「もしもし」

『電話、遅くなってごめんな』

旭さんの声を聞いて胸が疼く。

「……海外出張お疲れ様でした。あ、LINE返せずにすみません」

そういえば、既読スルーしたままだった。

『仕事、忙しかったんだろ?』

「え? まぁ、はい……。いろいろすみませんでした」

そういえば。

旭さん、私が半休を取ったことを知らないんだった。

『気にするなって。それより今、サンロイヤルホテルで御橋(みはし)開発の創業パーティーに顔を出してるんだけど、社の方から電話があってさ。取引先でトラブルがあったみたいで、今からそっちに行くことになったんだ』

え?

今から?

とっさにリビングの時計を見上げる。時刻は二十時を回っていた。
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