俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる~契約結婚だと思っていたのは私だけですか?~
思えば、急に始まった旭さんとの結婚生活はいろんな刺激に満ちていた。

たくさん笑って、ときめいて。

時に戸惑って泣いたりもして。

……今は知りたくもない真実を知ってしまって。

──こんなに苦しいのに。

どうしてだろう。思い出すのは、旭さんの笑顔と彼との優しい思い出ばかりだ。

きっと、こういうところが都合のいい女ってことなんだろうね。

ダメだ。感情がコントールできない。

「……会いたいよ」

涙がとめどなくあふれてきて、机に顔を埋めながら肩を震わせる。

砂羽ちゃんが戻ってくる前に気持ちを落ち着かせなきゃ。

ひとます化粧を直そう。

ふぅーっと深呼吸して顔を上げようとしたその矢先、ガチャッと部屋のドアが開く音がして慌てて涙を拭った。
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