俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる~契約結婚だと思っていたのは私だけですか?~
「さ、砂羽ちゃん、おかえりな……」

え?

砂羽ちゃんじゃない。

目に映るのは予想外の人物で、思わず言葉を呑みこんだ。

どうして?

ここに……。

尋ねたいことがあるのに、あまりの驚きに言葉が出てこない。

「もしかして俺のことが恋しくて泣いてたとか?」

久しぶりの再会は、聞きなれた俺様節から始まった。旭さんがクスッと笑い目の前の席に腰を下ろす。

真っ直ぐに向けられた瞳に耐えられなくなり視線を逸らした。

「……どうしてここに旭さんがいるんですか?」

「夏香が無視を決め込んで連絡取れないからだろうが。電話に出ないとしてもLINEくらい見ろよ」

「……すみません」

旭さんがそういうのも、ごもっともなことかもしれない。私が逆の立場で同じことをされたなら、ヤキモキしてメンタルが崩壊してそうな気がする。
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