俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる～契約結婚だと思っていたのは私だけですか？～
「夏香の気持ちが落ち着くのを待とうと、すぐ白黒つけないと気が済まないこの俺が一週間も待ってやったんだぞ。こっちだって気持ちのコントロールできなくて発狂しそうだったんだからな」

反射的に顔を上げた。向けられるまなざしはすごく切なげだ。

どうしてそんな顔をするの？

莉緒さんはあんな風に言ってたのに。

旭さんの本心が私には分からないよ。

「無理言って宝来と宝来の彼女に協力を頼んで、俺は今ここにいる。本当はこのまま夏香のことを家に連れて帰りてぇよ。この一週間、連絡取れなくて不安で、おまえの部署に乗り込んでそのまま夏香の手を取って、会社から連れ出したいって何度も思った。でも、それじゃダメなことも分かってる」

「旭さん……」

旭さんがそんな風に思っていたなんて思いもしなかった。

「夏香のことを契約の形の結婚で縛って手にいれた気でいたときもあったけど、そんなの虚しいだけだったからな」

真剣な瞳が私を捉えて離さない。
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