俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる～契約結婚だと思っていたのは私だけですか？～

「俺は夏香の心がほしい。だから、おまえが向き合ってくれるまで待つことにした。でも、俺の気持ちを伝えることくらいはしたっていいと思ったから今日ここに来た」

仕事で忙しいだろうに、私に想いを伝えるためだけにここに来たっていうの？

私は旭さんにとって、ただの都合のいい女なんじゃなかったの？

こんなことされたら勘違いしそうになってしまう。

心がなにかを期待してザワザワと落ち着かないのは、きっとそのせいだ。

「不安にさせたのは、本当にすまないと思ってる。でも、これだけは信じてほしい。俺は夏香を裏切るようなことはしてねぇ。次、きちんと向き合って話せるときがきたらすべての経緯も話すし、夏香の不安や誤解もちゃんと解くから」

「旭さん……」

「とにかく俺はおまえにしか興味はない。夏香だから結婚したいと思ったし一緒にいて楽しいし、愛おしくていつも抱きしめたいって思うんだ。だから、俺は諦めねぇよ。夏香が向き合ってくれるまで、何度でもおまえを見つけ出して気持ちを伝えにくるからな」

不思議だ。

あれだけ軋みをあげていた心が穏やかになっていく。

そして、足りなかったパズルのピースがぴったりとはまったかのように、心の奥底にぽっかりと空いていた穴が埋まっていくような感覚を覚えた。