俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる~契約結婚だと思っていたのは私だけですか?~
***

「夏香先輩、大丈夫ですか?」

「あ、うん。なんか巻き込んでしまってごめんね。あ、宝来くんにもよろしく伝えておいてね」

旭さんが部屋を出ていき、しばらくしてから砂羽ちゃんが戻ってきた。

「はい。伝えておきます。てか、こちらこそ先輩を騙す形になってしまってすみません」

「全然! それはいいの。むしろ感謝してる」

「それならよかったですけど。課長と話して気持ちは落ち着きました?」

「うん……」

「あんなに真っ直ぐに気持ちを伝えられたら女としては幸せですよね」

「え? 砂羽ちゃん聞いてたの?」

「はい。さっきまでヨシくんと一緒にドアに張り付いて聞いてましたよ。今頃、ヨシくんは瀬名課長と一緒にいるんじゃないですかね?」

砂羽ちゃんがニヤリと笑う姿に、急に恥ずかしさが込み上げてきて頬が上気していく。

ふたりに聞かれていたなんて。

「え? そ、そっか。……はははっ」

もういろいろ驚きすぎて笑うしかない。
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