俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる～契約結婚だと思っていたのは私だけですか？～

「それにしても、普段穏やかで優しい紳士みたいな瀬名課長が、本当は俺様で強引でちょっぴり不器用で驚きましたよ！　しかも、瀬名課長と夏香さんが結婚してたなんて！　驚きすぎてふたりで腰が抜けそうになりました」

そうだよね。

本当にいろいろ隠してたり、驚かせてばかりで申し訳なすぎる。

「本当にごめんね。いずれはちゃんと話すつもりではいたんだけど……」

「いいですって。でも、これからはできれば話してくれたらうれしいなって思います。私、意外とこう見えて口が堅いので」

「……うん。分かった」

「まぁ今日の総括をすれば、瀬名課長は夏香先輩のことが好きすぎるってことですね」

「え？」

「言葉の端々に夏香先輩への想いがあふれてましたよ。あんなに熱い男なかなかいませんよ。絶対に逃しちゃダメです！　なにがあったかはおふたりの問題なので、聞いたりしませんけど、夏香先輩の気持ちの整理がついたらでいいので、ちゃんと課長と向き合ってくださいね」

砂羽ちゃんが私の手をギュッと握りながら優しく微笑む。

さっきまであった胸のモヤモヤは霧が晴れたように消えていた。

「いろいろありがとうね。彼とちゃんと向き合って話してみるよ」

私も砂羽ちゃんの手を握り返し、力強くうなずいた。