俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる~契約結婚だと思っていたのは私だけですか?~
「心配かけて悪かった。でも、安心しろ。このとおりピンピンしてるから」

穏やかな声色が私を包み込む。

その声に導かれるように旭さんの頬に手を伸ばした。

「つーか、夏香を残して俺が死ぬわけねぇだろ、バーカ」

腕を優しく引かれ、鼻を掠めるのは懐かしい旭さんの匂い。

久しぶりに感じた彼の温もりを噛みしめるように、私はそっと旭さんの背中に手を回した。

「母さんに感謝しなきゃだな。母さんが夏香に連絡してくれたおかげで一日、早く夏香に会うことができたんだからよ」

「旭さん……」

「なぁ、夏香?」

「なんですか?」

「予定外だが、今から俺の話を聞いてくれないか?」

「……身体の方は大丈夫なんですか? 無理をしてほしくないです」

「大丈夫だ。頭の検査も異常なかったし」

「それならなによりですけど……」

「だからこの間のこと、きちんと説明させてほしい」

「……分かりました」
< 131 / 150 >

この作品をシェア

pagetop