俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる~契約結婚だと思っていたのは私だけですか?~
「莉緒の父親はサンロイヤルホテルの会長で、御橋開発とも取引があってさ。だからあの日、莉緒もあのパーティーに参加する予定だったみたいで。俺も参加することを聞きつけた彼女は、あの日空港で思わぬことを耳打ちしてきた」

「思わぬこと? なんて言われたんですか?」

「彼女は俺と夏香が結婚したことをどういうわけか知っていた。〝このままじゃ、納得できなくて夏香になにをするか分からない。でも、今この瞬間から自分のことをお姫様扱いしてくれて、御橋開発のパーティーに一緒に参加してエスコートしてくれたら、それで俺のことは諦める〟と言ってきたんだ」

「そうだったんですね」

だからあのとき、旭さんは彼女の手を引いて歩き出したのだと理解した。

あれは私を守るための行動だったんだ……。

「だから俺は莉緒とあのパーティーに参加した。だが、途中で会社から電話が来てパーティーを抜け出すことになって。それを聞いて莉緒は、納得いかなかったんだろうな。今、思えばわざとだったのだろうが、莉緒からシャンパンを零されてさ」

「え?」

「俺はスーツケースにいれておいた予備のスーツに着替えて、汚れたスーツを会場にいたスタッフに預けてクリーニングに出してもらうようにお願いしたんだ。それを莉緒は見ていたから、強引にそのスタッフから俺のスーツを奪ったみたいだ。そして、それを持って夏香に会いに行ったらしい」

「そんなことがあったなんて……」

真実を知ってかなり混乱している。
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