俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる~契約結婚だと思っていたのは私だけですか?~
ちゃっかりカメラマンさんを同行させ、写真とビデオカメラを撮ってもらう手配までしていた旭さんの用意周到ぶりには驚いた。

私の知らないところでいろいろ考えてくれていたことを知り胸が熱くなる。こんな風に旭さんとの思い出が増えていくことがたまらなくうれしい。

リムジンを降りてアテンドさんに誘導され、チャペルのドアの前に立つ。そして、旭さんの腕に手をかけた。

「旭さん……」

「どうした?」

「私、今とっても幸せです」

急に旭さんにその想いを伝えたくなった。

「俺も夏香といられて幸せだ」

旭さんがふわりと笑い、指先が私の頬に触れる。

「やっとあのときの約束を果たせそうだ」

「約束?」

じっと旭さんの目を見つめる。

「昔、夏香が公園で泣いてたとき、『いつかいい景色を見せてやる』って夏香に約束したから。それを叶えるためにここに連れてきて、ふたりだけの結婚式がしたかったんだ」

ハッとした。

あの日の光景が頭に浮かぶ。

あれからずっとあの約束を覚えていてくれたなんて。

旭さんの想いを知り、心が震え涙があふれた。
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