俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる~契約結婚だと思っていたのは私だけですか?~
「そうなんだ。うまくいくといいね」

「はい。ところで夏香先輩は最近どうなんですか?」

「え? 私? えっと……」

大きなクリッとした可愛らしい瞳が私を捉え続ける。

まさかこちらに話を振られるなんて思ってもいなくて、言葉を詰まらせた。

「私は特になにもないよ~。仕事場と家の往復だけの味気ない生活かな」

「夏香先輩、仕事もできるし優しいし。なによりこんなに綺麗なのにもったいないですよ!」

「いやいや。そんなこと言ってくれるのは砂羽ちゃんだけだから」

なぜか砂羽ちゃんは私のことを慕ってくれている。天真爛漫で人懐っこい三歳年下の砂羽ちゃんは、私にとって妹みたいな存在だ。

「今日の埋め合わせに今度、夏香先輩に合いそうな男の人を紹介しますから。楽しみにしててくださいね」

はにかむ砂羽ちゃんを見て笑って返したものの、正直、今は〝家の問題〟があるし誰かとお付き合いをするのは考えられない。

今はとにかく仕事に邁進したい。
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