俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる~契約結婚だと思っていたのは私だけですか?~
「……容態は? どこの病院?」

冷静にならなきゃと必死に脳に命令しても、身体の震えが止まらない。

脳裏に浮かぶのは急逝した父の姿。

あんな想い二度としたくない。

「分かった。今からそっちに向かうから。じゃあまたあとで」

とにかく病院に行かなきゃ。

「おい、どうした? 顔色が真っ青だぞ?」

電話を終えた私のもとに旭さんが近寄ってきた。そして、心配そうに私の顔を覗き込む。

「おまえ震えてる……。なにがあった?」

ギュッと手を握ってくれた旭さんと目が合った。

「お母さんが職場で倒れたって。……弟から電話で言われて……」

「マジかよ」

「す、すみません! 私、今から病院に向かうので失礼します!」

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