俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる~契約結婚だと思っていたのは私だけですか?~
「当日の動きはこの資料にまとめてあるから読んでおいて。分からないことがあったらいつでも聞いてくれてかまわないから」

「はい……」

会議室にふたり。とても気まずい。でも、目の前にいる旭さんは仕事モードの紳士な感じだから、それがまだ救いだ。

てか、わざわざこんなところで打ち合わせなんかしなくても、社内便で資料を私のところに送ってくれればよくない?

なんでわざわざ……。

「ところでお母さんの具合はどう?」

「え? あ、その……おかげさまで、あのあと退院して元気にやってます」

いきなり仕事の話からプライベートな話に飛んだものだから、びっくりして動揺してしまった。

「ならよかった」

旭さんが安心したようにニコリと微笑む。

あの日からおおよそ二週間が過ぎたが、旭さんは母のことを気にかけてくれていたらしい。

強引で俺様なのに、意外にも几帳面だったり気遣いができたり、いろんな一面を持っている旭さんに私は戸惑ってばかりだ。
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