俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる~契約結婚だと思っていたのは私だけですか?~
「なんでしょうか?」

「実はこっちに帰ってきてから、両親からしつこく見合い話を持ちかけられててさ。正直、うんざりなんだよ。だから俺のこと助けてくれない?」

「私が瀬名課長を助ける?」

なにをどうすればいいか分からず一瞬、真顔になってしまった。

御曹司には御曹司なりの苦悩があるらしいことを知ったが、その助けに私みたいななんの力もない女が役に立てるとは到底思えないのだけれども。

まぁ、そんな私でも力になれることがあるというならば、旭さんの力になりたいとは思うけど……。

じっと旭さんを見つめる。

「俺と結婚してくれないか?」

「え? け、結婚?」

思わず声が上擦った。旭さんは真剣な顔をしている。

これはつまり……いきなりプロポーズされたってことでしょうか?

いや、私たち十年ぶりに再会したばかりだし、そもそもお互いのことをよく知らない。

付き合ってもないのに、それを通り越しての結婚って。

そんなのありえないでしょう?

ふざけてるだけだよね?

いや、でも旭さんならこんなぶっ飛んだことを普通に言いそうな気もするけど……。
< 39 / 150 >

この作品をシェア

pagetop