俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる～契約結婚だと思っていたのは私だけですか？～

「夏香と結婚することで俺は両親を黙らせることができてしつこい見合い話から逃れられる。夏香は俺と結婚すれば、今の借金生活から解放される。つまりは俺が借金を肩代わりするってことだ」

「借金の肩代わりなんて……そんなことさせられません」

「俺がいいって言ってんだから素直に受け入れろよ。そうすることで夏香は家族を救うことができるって考えれば、悪い話じゃねぇだろ？　夏香が今のままの生活を続けてたら、また母親が倒れるかもしれないし、弟だって大学を辞めるってまた言い出すかもしれないぜ？」

確かにそれは否定できない。

私が旭さんの提案を呑めば、借金で家族が苦しむことはなくなり、母や弟を救うことができる。もう母に無理はさせなくて済むし、颯も学業に専念できる。

旭さんもしつこい見合い話から逃れることができる。

互いにまったく知らないわけでもないし、旭さんは俺様な面はあるけれどいい人ではある。

冷静に考えれば、この提案を受け入れることが最善の方法なのかもしれない。

それでも、いきなり結婚だなんて。

私の中でそれを受け止めきれないよ。