俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる～契約結婚だと思っていたのは私だけですか？～

ガチャッと部屋のドアが開く音がしてそちらを向いた。

「旭さん……」

そこにはラフな姿の旭さんがいた。

ベッドの端っこに腰を下ろした旭さんが、私のおでこに手を置きながら心配そうに私の顔を覗く。鼻を掠めるのは、彼から漂う爽やかな石鹸の香りだ。

「具合はどうだ？　帰ってきたら真っ赤な顔してソファーに寝ていたからここに運んどいた」

そういうことだったのかと納得した。

てか、私、重くなかったかな？

抱っこされていたという事実を知ってじんわりと恥ずかしさが胸に広がっていく。

「まだ熱がありそうだな？　なんか食えそうか？」

ますます顔が赤くなってしまったのはきっと、熱のせいだけじゃない気がする。

「寝たら少しよくなった気がします。ご飯はちょっと無理かもしれないです」

「そうか。でも、なんかお腹には入れておいたほうがいいだろうから。ちょっと待ってろ」

そう言うと旭さんは部屋を出て行って、キッチンからミネラルウォーターのペットボトルとゼリーを持ってきてくれた。