俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる~契約結婚だと思っていたのは私だけですか?~
あれは、確か日比谷(ひびや)テクノロジーの登坂(とさか) 聡志氏だ。大学時代にIT系の会社を起業し、今や飛ぶ鳥を落とす勢いで業績を伸ばしているやり手の若社長。

彼の会社のクラブチームであるソレスタ・サーガというバスケットボールチームの新ユニフォームとスポーツウエアのデザインを依頼したいという依頼を受け、数週間前に宝来と一緒にプレゼンに伺っていた。

今日は視察に来たというところだろうか。

それにしても夏香とずいぶんと親しげだ。

いったいどういう知り合いなのだろう。

「元気そうでよかった。夏香、相変わらず小さいな」

登坂氏が微笑みながら夏香の頭に触れた。

「百六十センチはほしかったんだけど、結局あのときのまんま一ミリも伸びてない」

夏香は苦笑いを浮かべながら彼を見つめている。

胸がもやもやとして目を逸らしたいが、どうしてもそれができない。

どういう知り合いか知らないが、気安く夏香に触れてんじゃねぇよ。

夏香も夏香だ。あんなに楽しげな顔しやがって。

ここ最近、俺の前じゃあんな顔、見せないくせに。

なんなんだよ。

俺以外の前であんな顔するんじゃねぇよ。

つーか、夏香に触れていいのはこの俺だけだっての。
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