俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる~契約結婚だと思っていたのは私だけですか?~
「登坂さん、本日はお越しいただきありがとうございます」

気づけば、もっともらしい口実を見つけてふたりの間に割って入っていた。

「あ、瀬名さん。こんにちは。先日はお忙しいなかおいでいただきありがとうございました。今日はゆっくり新作ウエアの方を見させていただきます」

端正な顔立ちで長身。身に着けているものもシンプルだが一流。しかも口調も穏やかで低姿勢。まさに好青年といったところか。

「どうぞゆっくりご覧になって行ってください。あ、立花、受付はもういいから来栖(くるす)の手伝いに行ってもらえるか?」

「あ、はい。分かりました。それでは私はこれで失礼します」

「夏香、仕事中に声をかけてごめんな。今度また食事にでも行ってゆっくり話そう」

俺がいるからか夏香は少し戸惑ったように笑い、そして登坂氏に頭を下げてその場を離れて行った。

「……立花とお知り合いなんですか?」

俺はいったいなにを聞いてるんだ。

そう思いながらも聞かずにはいられなかった。
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