俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる~契約結婚だと思っていたのは私だけですか?~
***

旭さんが家を出て行ってからずっと涙が止まらずにいる。あれから私は自分の部屋に閉じこもり、ベッドに横たわりながら今日のことを思い返していた。

打ち上げのときから旭さんの様子がおかしいことは私も気づいてた。

目の前の席に座っているというのに全然目を見てくれなかったし、みんなには普通に接しているようにしていたけど、私には彼が不機嫌に見えていた。

タクシーに乗り込んでからは明らかに怒っている旭さんにどう接していいか分からなかった。

〝誰のせいで俺がこんな風になってると思ってんの?〟

怒りと哀艶が滲んだ顔が頭から離れない。

旭さんは私に怒っていた。

なにか怒らせることをしてしまったんだろうか。

一緒に暮らしてから彼があんな風に私の意志を無視して迫ってくることなんて一度もなかった。
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