俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる～契約結婚だと思っていたのは私だけですか？～
「本日から企画開発課で指揮をとらせていただくことになりました瀬名(せな) 旭(あさひ)です。四年ぶりにこちらに戻ってきたので、いろいろと変わっていて驚いています。皆さんいろいろ教えてください。そして、共に最高のアイテムを作り上げていけるように頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします」

耳に届いた懐かしい声色。目に焼き付く優しい微笑み。

長身で手足が長く端正な容姿。

私は今、夢でも見ているのだろうか。

昼休みに砂羽ちゃんが言っていたように、各部署に挨拶回りに来た例の社長のご子息。それは別に驚くことではない。

だけど、その顔には見覚えがあり、あまりの衝撃に身体が震えている始末だ。

彼は私に気が付いているのだろうか。そもそも私のことなんて覚えていないかもしれないけれども。

次の瞬間、宙で絡まった瞳。一瞬だけ彼が口元に笑みを浮かべたように見えたけれど、動揺は感じられない。

戸惑っているのは私だけらしい。

ああ、心臓がうるさい。

胸が苦しい。

どうして私、こんなに戸惑っているのだろう。

瀬名旭。

ずっと心の奥でくすぶっていた人との再会は、嵐のように突然やってきた。
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