俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる~契約結婚だと思っていたのは私だけですか?~
「今日は急なアポイントに応じてくださってありがとうございます」

事務所に着くと応接室に通され、神尾紫苑本人と、そしてマネージャーと思われる四十代の細身で長身の男性が迎えてくれた。

マネージャーの方は物腰がやわらかいが、神尾紫苑は噂で聞くどおりふてぶてしいというか、足を組んで椅子に座り携帯をいじってるありさまで偉そうだ。

二十代前半という年齢で実力社会の中で生きていれば、多少とがっているのも理解はできるが……。

まぁ、とにかく美形でスタイルがいい。そして実力と才能があるとくれば、この業界では生き残れるらしい。こう見えて仕事となるとストイックだと聞いたことがある。

「まどろっこしい話はなしにしてこのウエアを作ったデザイナーにデザインを依頼したいんだよね。次回の公演から使いたいから、期限は一か月弱で」

神尾が唐突に口を開いた。

だいぶ無理難題を言ってくるな、コイツ。

分かっていっているのか。それともこちらを試しているのか。

いずれにせよ。
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