俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる～契約結婚だと思っていたのは私だけですか？～

「本当に昨日はあんなことして傷つけてごめん！！」

沈黙を破ったのは、旭さんの方だった。床に膝をつき、深々と頭を下げる彼の姿がある。

「ちょ、ちょっと旭さん！　頭を上げてください。そこまでしなくても……」

慌てて旭さんの肩に手を置き、頭を上げさせる。

宙で絡まった視線の先にいる彼は、今にも泣き出しそうなくらい切なげで胸が疼いた。

「夏香の気持ちも考えずに、酷いことをしてしまったと反省してる。俺さ、展示会で登坂さんと夏香が親しげにしているのを見て嫉妬したんだ」

「え？」

旭さんが嫉妬？

驚いて私は目を丸くする。

「いい歳してみっともないよな。いいやつと思われたくていい人を演じていたけど、本当の俺は独占欲が強くて、夏香が他の男と仲良くしてるだけで嫉妬するし、俺のことだけ見てほしいって思ってしまう。夏香のことが好きすぎて、気持ちのセーブができねぇんだ」

旭さんが私のことを好き……？

まさかの告白に心が熱くなる。

私に対してそんな感情を抱いてくれていたなんて。

うれしさと戸惑いと安堵と。いろんな感情が身体中を駆け巡って涙があふれた。