俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる~契約結婚だと思っていたのは私だけですか?~
「夏香の寝顔かわいくて天使みたいだった」

「え? い、いつから見てたんですか?」

「ん? 起きてからずっと見てたけど」

「もう! すっぴんだし見ないでください」

まっすぐに向けられる瞳に耐えきれなくなって、思わず布団の中に潜り込んだ。

「出てこいって」

「恥ずかしいです」

「てか、この話も聞きたいから出てこいよ」

ん?

この話って、どの話?

旭さんの発言の意味が分からず困惑しながら、ゆっくりと布団の中から顔を出した。

あっ! と思った瞬間、楽しげに笑う旭さんと目があった。

「パーカーずっと持っていてくれたんだな」

旭さんの手にはあの黒パーカーがある。

やっぱり、昨日、気づいてたんだ。

「……はい。私にとって旭さんは恩人だから」

面と向かって言うのは気まずくて、つい目が泳いでしまう。
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