俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる~契約結婚だと思っていたのは私だけですか?~
「帰ってきたらたっぷり可愛がってやるから覚悟しとけよ」

旭さんの言葉に耳まで赤くなってしまった。

「夏香、真っ赤だけど想像したの?」

「もう! あんまりいじめないでください」

「夏香は本当に心も身体も素直でよろしい」

旭さんがポンポンと優しく私の頭をなでる。

心が穏やかになっていく。

愛されるってこうことを言うのかな?

自然と笑みが零れた。

「なぁ、夏香?」

やわらかい声が耳に届く。

自然と彼の顔を見上げると、旭さんがふわりと笑い私の頬に触れた。

「俺が帰ってきたら、俺たちのこときちんと会社でも公表しよう」

「え? 公表?」

思わぬ提案に目を見開いた。

「本当の夫婦になったんだし、もう隠す必要もないだろ?」

「そうですね」

言われてみればそうだ。

もう契約結婚とかいう複雑な関係ではないのだから、公表したところでなんの支障もないのだ。

「公表したら、会社でも夏香に触れることができるしな」

「そ、それは止めてくださいね」

「なんでだよ? 早く夏香は俺の妻だぞ~って見せびらかしたい」

そんな風に言って楽しげに笑ってくれることがうれしい。

旭さんのことが愛おしくてたまらない。

「ニューヨーク、気をつけて行ってきてくださいね」

「ああ。夏香もあんまり無理すんなよ」

こんな日常がずっと、ずっと続きますように。

そう願わずにはいられない。
< 95 / 150 >

この作品をシェア

pagetop