RED&BLACK
ナターリアに怒鳴られ、シェラは泣きながら庭へと走って行った。使用人たちは同情の目を向けるものの、誰もシェラに声をかけることはない。慰めてくれる人がいないことに、七歳の少女は絶望し、また泣いてしまうのだ。

シェラはナターリアの血の繋がった子どもである。お嬢様と本来ならば呼ばれなくてはならない立場だ。だが、彼女は毎日ボロボロの服を着せられ、使用人のように働かされている。それは、ナターリアから憎まれていることが原因だった。

ナターリアは自分よりも醜い子どもが生まれることを心の奥底から望んでいた。だが、生まれてきたのは誰よりも美しい容姿を持った女の子。シェラが産声を上げた時、産婦人科医たちは本当にナターリアと夫のジュゼッペの子どもなのか疑ったらしい。ジュゼッペの容姿もそれほどいいものではなかったからだ。

ナターリアはシェラを妬み、使用人よりも酷い扱いをした。暴言を吐き、叩いたり棒で殴ったりと暴力は当たり前、使用人がシェラに話しかけることも許さなかった。ジュゼッペはシェラを妻がそのように扱うことに対して叱ることはなく、シェラの味方は誰一人いない。
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