RED&BLACK
シェラが泣きながらベンチの掃除を終えて屋敷の中に戻ると、乱暴にナターリアから腕を掴まれた。また暴力を振るわれるのではないかとシェラはびくりと体を震わせる。

「お母様!?」

シェラはナターリアに引きずられ、一階へと連れて行かれる。そして、バスルームへと乱暴に押し込められた。

「今晩、集まりを行うようお告げがあった。その汚い体を何とかしなさい。いいわね!?」

乱暴にバスルームの扉が閉められる。その数秒後、ハサミやヘアブラシなどたくさんの道具を持ったメイドがバスルームに入って来て、シェラの伸び放題の髪は整えられ、体も綺麗に洗われていく。

シェラが使用人よりも低い立場から、お嬢様になれるのはボーデン一族が集まってパーティーを開く時だけだ。その時だけ、シェラは着飾ることを許されている。

「できましたよ」

数時間後、パーティーが始まる前にはシェラの髪は緩く巻かれ、ルビーのついた綺麗なバレッタがつけられ、レースがたっぷり使われた可愛らしい真っ黒なドレスを着せられた。
< 4 / 24 >

この作品をシェア

pagetop