RED&BLACK
鏡をシェラが見れば、そこには普段とは別人の自分が映っている。自分ではないような気がしてシェラが不思議に思っていると、黒いマーメイドラインのドレスを着たナターリアに乱暴に手を引かれる。

「さっさと来なさい!」

ナターリアの隣には、黒いタキシードを着たジュゼッペがいた。ネクタイまで真っ黒で、まるで三人は葬儀にでも参列するかのような格好である。だが、三人は葬儀に行くためにこのような格好をしたわけではない。

広々とした屋敷は騒がしい。門から多くの馬車が入ってきている。

屋敷の敷地内に建てられたパーティーホールにシェラはナターリア、ジュゼッペと共に入る。中には真っ黒なタキシードやドレスを着た大勢の人がいた。だが、多くの人が存在するような明るく煌びやかな雰囲気ではない。

パーティーホールの中は薄暗く、壁際に並べられた蝋燭の炎がぼんやりと辺りを照らしている。壁際には恐ろしい見た目をした怪物の絵がたくさん飾られ、不気味な雰囲気の音楽が流れている。
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