一夜の過ちは一生の過ちだった 【完】
前からやってきた事をするだけだ。
そんなに難しい事じゃない。

笑顔を用意して、適度に相槌を打って、適度に自分の話も織り交ぜて。
そうやって、やり過ごせば良い。


もうすぐ、笑顔の作り方を思い出さないといけない。


猶予は、あと何日だろう。

数えたくもない。



クロエさんは契約が終わってからも、自分が連絡をしたら返してくれるのだろうか。

姫野さんは、クロエさんはあまりスマホを触らない人だと言っていた。

返ってこないかもしれない。
ブロックされたりとかは、さすがにないだろうけど……。



なんとなく、姫野さんとは細いやり取りでこれからも繋がっていく気がする。

今日も「ボルダリング、楽しみにしてるね。海楽しんできてね」と、ライム達の画像と共に連絡をくれた。

共通点の多い姫野さんとは、自然と会話が広がる。
会ったばかりの人という感じがあまりしない。
PCの修理も、姫野さんだからお世話になろう、と飛び込めたんだと思う。

姫野さんとはこれからも、会う事があるかもしれない。
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